挨 拶 about us

January 2011

日本に古くから自生する睡蓮
まみれし水から結ばれる
白く可憐なヒツジグサ
人はもっと美しく在れると信じる

 

このたび私達は北信州 黒姫を拠点に、新たな活動を始めることとなりました。活動の全貌を今すぐお見せすることはできないのですが、できることから始めてゆこうと思っておりますので、末永く見守っていただければ幸いです。

12年前Australiaの人里離れた山あいの草原で、自給自足に生きる家族のもとに半年暮らし、人生が変わりました。周りにある木や石、土や廃材で作る家も、そこに暮らす人々の顔もまた美しく、何より日々の暮らしそのものがたまらなく美しかったのです。それは人が残したどんな作品や言葉よりも強く胸を打ち、自分の生きる道を見た気がしました。「人生をかけて世に伝えたいこと、問いかけたいことがある。」そう思うようになり、以来ただひたすらにその生き方を求め、準備を重ねてきました。彼らに倣い、自然のものや棄てられたものを材料に、暮らしにまつわるものを自らの手で作り出し、それと同時に理想の土地も探し続けてきました。

そして2010年、求めていたその地にようやく出会ったのです。
黒 姫。
厳しい冬を持つこの高地には、いまだ深い自然が息づいています。都市の隣に位置しながら、見渡す限り人の爪痕がない太古のままの大地の姿が見られるというのは、今日の日本において殆ど奇跡です。山の裾野にある小高い丘の上。そこに私達は根を下ろすことに決めました。広大な草原にどこまでも続く青い空、そして深く豊かな広葉樹の森。濃密な生命の気配が辺りを包みます。白化粧した霊山北信五岳から気が吹き渡り、雪から解け出した清冽な水が足もとを流れます。まさに夢に見た地でした。

大地に根を張り 水に身をゆだね
日々空を見上げ ひかえめな白い花を結ぶ

この地でそう生きてゆきたい。そんな願いを込め、日本に古くから自生する唯ひとつの睡蓮「未 草(ひつじぐさ)」の名を冠し、新たな一歩を踏み出すことに決めました。

まずはそこに通い、森を拓くところから始めます。木を伐り、石を積み、そして家や小屋を建て、それから家畜や作物を育てます。今までの廃材や古布などを使った作品に加えて、より身近な土地の材料を使ったもの作りになってゆくことでしょう。ようやく本当にやりたかった暮らしやもの作りが実現できます。身の周りにある自然の力を借り、既にあるものを上手に利用すれば、人は十分豊かに幸せに、そして美しく生きることができます。そのことを自ら示すことによって、世のなかに少しでもメッセージを残せたらと思います。

人類はこの百年二百年の間に大切なものを失い過ぎました。これ以上手放したくないもの、手放してはならないものがあります。子供や孫やその先の代に届けなければならないものを、これ以上損ない続けることが正しい道であるとは思えません。今この世界から消え去ろうとしているもの、それらはこのまま失くしてしまうにはあまりにも美しく尊いのです。