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日本に古くから自生する睡蓮
土にまみれし水から結ばれる
白く可憐なヒツジグサ
人はもっと美しく在れると信じる

 

このたび私達は北信州 黒姫を拠点に、新たな活動を始めることとなりました。活動の全貌を今すぐお見せすることはできないのですが、できることから始めてゆこうと思っておりますので、末永く見守っていただければ幸いです。

10年前 Australiaの人里離れた山あいの草原で、自給自足に生きる家族のもとに半年暮らし、人生が変わりました。周りにある木や石、土や廃材で作る家も、そこに暮らす人々の顔もまた美しく、何より日々の暮らしそのものがたまらなく美しかったのです。それは自分が触れてきたどんなものよりも心を震わせ、生きる道を見た気がしました。「人生をかけて世に伝えたいこと、問いかけたいことがある。」そう思うようになり、以来ただひたすらにその生き方を求め、準備を重ねてきました。彼らに倣い、自然のものや棄てられたものを材料に、暮らしにまつわるものを自らの手で作り出し、それと同時に理想の土地も探し続けてきました。そして2010年、求めていたその地にようやく出会ったのです。

黒 姫。

厳しい冬を持つこの高地には、いまだ深い自然が息づいています。山の裾野にある小高い丘の上。そこに私達は根を下ろすことに決めました。広大な草原にどこまでも続く青い空、そして深く豊かな広葉樹の森。濃密な生命の気配が辺りを包みます。白化粧した霊山北信五岳からは気が吹き抜け、雪から解け出した清冽な水が足元を流れます。

大地に根を張り 水に身をゆだね 日々空を見上げ ひかえめで白く美しい花を結ぶ

この地でそう生きてゆきたい。そんな願いを込めて近くの池に浮かぶ、日本に古くから自生する唯ひとつの睡蓮「未 草(ひつじぐさ)」の名を冠し、新たな一歩を踏み出すことに決めました。

まずはそこに通い、森を拓くところから始めます。木を伐り、石を積み、そして家や小屋を建て、それから家畜や作物を育てます。今までの廃材や古布などを使った作品に加えて、より身近な土地の材料を使ったもの作りになってゆくことでしょう。ようやく本当にやりたかった暮らしやもの作りが出来ます。身の周りにある自然の力を借り、既にあるものを上手に利用すれば、人は十分豊かに幸せに、そして美しく生きることができる、そう信じています。

人類はこの百年二百年の間に大切なものを失い過ぎました。これ以上手放したくないもの、手放してはならないものがあります。今この世界から消え去ろうとしているもの、それらはこのまま失くしてしまうにはあまりにも美しく尊いのです。

August 2010  「未 草」 小林 寛樹 ・ 庸子

 


小林 寛樹 Kanju Kobayash

幼い頃より、自分で家を建て馬と共に草原に暮らすことを夢みる。オーストラリアで自給自足に生きる家族と出会い、以後彼らにならい捨てられたものや自然のものを集め、家作りの一環として家具や暮らしの道具、彫刻などを作り始める。

 

 


小林 庸子 Yoko Kobayashi

機屋の残布 年月を経て褪せた布 使い込まれた古布や革 天然素材を使い、身の回りを包む布ものをつくる。小林 寛樹との結婚後、想いを共にし黒姫の地の開拓、家づくりを行う。

 

 

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